インターネットの動画で有名ブランドのCMを「偶然」見た。
有名な女優がこんなセリフとともに、絹の布を天へ向けて登っていく。
過去は美しく見える
思い出、夢
しかし、住むところではない
今こそたったひとつの出口、天に向かって
そこは天国ではない
そこは新しい世界
未来は黄金
悲しみに打ちひしがれている私に対して、あまりにも早い「肯定的メッセージ」で宇宙に腹が立った。今いる地獄から未来が黄金だと思えるわけがない。そんな簡単に変われたら、誰も苦労しない。
でも、宇宙は(もしかしてマロンは)あきらめない。スーパーに行くと、売り場に置いてある小さなDVDに食品のCMが流れていた。「偶然」見いっていると、音楽だけが流れていたのに、突然、若い女優がこう言った。
君がいなくてもこの世界には明日がやって来る
わかってる。
そんなこと、わかってる。
ものすごく腹がたった。
うるさい。私はそんなに早く変われない。
初めて味わう膨大な喪失感とともに、悲しみのストーリーから抜け出すことは容易ではなかった。
私とスカイプしたあるヒーラーはこう言った。
「食事は何回食べていますか?」
そう質問されるまで、何回の食事をしているかなんて、気にしてもいなかった。何を食べたのかさえ、覚えていなかった。
「何か飲んでいますか?」
飲んでいないことに気づいていなかった。
「誰か直接会える人に助けを求めましたか?あなたには今それが必要だと強く感じます。」
誰にも会いたくない、誰にも。スカイプのセッションでさえ、せいいっぱいだというのに。
今だって、まともに頭が働かず、まともに言葉が出てこない。
起こったことを受け止めようとするだけで、せいいっぱいなのに、更に誰かに会って話をしろと?
冗談じゃない。
私がこのヒーラーに押し付けがましさを感じていたのは「転位」だということもわかっていたが、どうにもこうにも腹がたってしょうがなかった。
そもそも私は、ヒーリングセッションなど受けたくなかったのだ。
なのに、「助けを求めなければならない。」と私のエゴが自分に圧力をかけた。
普通はそうする、そのほうが傷が癒やされる、ヒーリングスクールで助けを求めることは素晴らしいと習ったではないか、助けてくれる人が大勢いるのに孤独でいることはない。そんなエゴが私に勝った。
孤独でいることは、時に地上の楽園にいるほど穏やかで、自分らしく泣くことができるというのに。
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