2012/10/30

ペットロス。

「ペットロスって?」そう、聞き返されました。

Aさんのお知り合いのBさんが、息子同然に育てて可愛がってきた老犬をなくされたそうで、それ以来、元気がないという話を聞いたときのことです。「ペットロスじゃないかしら?」と言った私に、Aさんが最初の質問をされました。

ペットを失うことは家族のメンバーを失うことと同じくらい辛いこと・・・に感じられる人も、この世の中にはたくさんいるのです。

話によると、Bさんにお子さんはいらっしゃらず、ご主人と二人暮らしだったそうです。しかし、そのご主人もだいぶ前に他界されて、それ以来、老犬とずっと一緒に暮らしていたのだそうです。

17年も生きた大きな茶色の犬でした。最後は歩けなくなり、トイレが間に合わずオムツをつけていたそうです。犬はプライドが高く、最初のうちはオムツを嫌がっていたそうですが、とうとうあきらめたそうです。

Bさんは自分も定期的に病院通いがある70代。家を不在にするときには、犬の下血をとても心配しながらだったそうです。部屋中に新聞紙やオムツをしいてから外出していたとのことでした。

田舎にはペットシッターさんがいません。いや、いるかもしれないのですが、年金生活者が利用できるような安価な「老犬シッター」さんは皆無なのです。

この話を聞いて、私は本当に考えさせられました。

どんなペットも年を取る。その時、自分はどこまで面倒みれるだろうか?
自分はその時、何歳になっているだろうか?

車を運転しないBさんは犬を動物病院へ連れて行くのも往生して、携帯電話で写真を撮って、それを先生に見せて判断を仰いでもらっていたようです。

訪問看護を手伝ってくれる動物病院は、私が住む市にはありません。訪問してくれる病院だって、本当に数えるくらいです。それも、最後の瞬間を看取るため(安楽死の注射をするため)だったりします。

身体に床ずれが出来て、痛みがあったのでしょうか、犬は夜中に「くぅ~ん、くぅ~ん」と鳴いていたそうです。Bさんは痛みを代わってあげることができない自分を責めて、さらには睡眠の質も落ちました。病院の先生に訴えるも、睡眠導入剤を飲み始めて身体が慣れてしまうのが怖くて、しょうがなく犬を気にしながら昼寝をうつらうつらとしていたそうです。

人間の看病も大変ですが、動物の看病も大変なのです。

最初は家族のメンバーがいても、Bさんのように、やがていなくなる場合も年齢によってはあります。本当に犬が好きな人は年老いてからも一緒に過ごしたいと願います。

犬がなくなって数日後にBさんに会いました。全身、黒っぽい服でした。きっと、喪に服していたのでしょう。だいぶ泣いたのでしょうか、目も赤っぽかったのを覚えています。

「最後まで、よく頑張りましたねえ。だいじょうぶですか?」と私が言うと、「あらー、(動物病院の)先生みたいなこと言うのねえ。」と明るく笑ったあと、最後の瞬間は平和で静かに逝ってくれたから、それだけは本当に良かった、と話されました。

「今度は病気やケガのない世界だから、安心ね。」と言うと、「そうねえ・・・。」と何やら思いめぐらしているようでした。

心理的、精神的に大変だった時期、動物病院の先生がだいぶ相談相手になってくれたそうです。そして、犬がなくなったことを報告に行くと、「これからも、何もなくてもいらっしゃい。」と言ってくれたのだそうです。

ペットロスはまるでうつ病のような状態になります。愛する人を亡くしたことのある人なら、簡単に想像がつくでしょう。すべてにおいてやる気がうせて、自分がなぜ、何のために生きているのかさえ、わからなくなります。食欲は落ち、外出もしたくなくなります。もっとできることがあったのではないか、と自分を責めます。

Bさんは「じゃあ、またね。」と最後まで笑顔でした。やれるだけのことは、全部やった。でも、まだふっきれない。明るくするのも疲れる。そんな顔でした。

ペット保険に入れる人は幸せです。それだけ余裕がある証拠ですものね。でも、子どもの人口よりペットの数が多い国となった今、老人がペットを飼っている場合も多々あります。年金生活、車なし、借家生活をつましくしている人たちが困ったときに、いったい、だれに助けを求めればよいのでしょうか。老犬介護、ペットロス。どちらも、今後の課題です。


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【自己紹介】 中村久美恵 BBSH2011年卒業BHSプラクティショナー💖動物が大好きなエネルギーヒーラーです💛犬2匹猫30匹をお看取りした経験から、ペットロスのヒーリングサポートをしています。こんにちは、中村久美恵です^^ 今日もあなたが目覚めるメッセージ♡お届けします。 ...