2012/05/15

カラスとかちがらす(2)

ヒチコック映画さながらの原っぱをよく見ると、歩道沿いにカラスが輪になって「ぎゃあ、ぎゃあ!」とけんかするように騒いでいます。上空ではかちがらすの夫婦が仲間を呼ぶように必死で鳴いていました。

「!」。 ピンときた私は犬と一緒に、カラスが集まっている場所へ猛ダッシュしました。だいたい、カラスがたくさんいるだけでも気持ち悪い風景なのに(カラスファンの方、ごめんなさい!)そのうえ、想像を絶するうるささ。騒いでいるカラスは犬と人間の登場で、一斉に飛び立ちました。

はたして、そこにあったのは、立派は羽が数本残った、かちがらすのヒナでした。ああ、やっぱり・・・。巣立ちまであと少しだったのに・・・。首や胴から出血していて、すでにこと切れていました。

「はあ~。」重いため息をついて、しゃがみました。ああ、どうしようもなかったね。まだ飛べなかったのにねえ。ごめんね。救ってあげられなかった親を恨むかい?でも、親もどうしようもなかったんだよ。どうか、許してね。

動かないヒナに心の中で許しをこい、これで怖い思いをすることのない世界に行けたことを祝福しました。でも、残念でなりません。ちいっくしょー!といくら悔やんでも、何もできないのです。がっかりしながらも、これ以上、ヒナがつつかれないように、手当たり次第に草をちぎって集め、上からそっとかけてあげました。緑色のお布団をかぶったヒナに、カラスは一羽も近づきませんでした。

親はすべてを知っていて、何でもできるかのように子どもは思います。少なくともそう信じているでしょう。でも、大人でも知らないことはあるし、できないことはあるのです。子どもの命を守れないときだってあります、動物も、人間も。ヒーラーとしてクライアント(患者)を救えない時だってあります。要は、この3次元の世界では「限界がある」ということです。これを受け入れるのは、ときに辛いことです。

電線には相変わらずカラスが真っ黒に並んで止まっており、近所の家の屋根、アンテナなどにも数羽ずつ止まって、うるさく鳴き続けていました。この時ほど、カラスが憎く見えたことはありません。私は完全にかちがらす派でした。こんな大勢で、たった2羽のかちがらすから大切なヒナを奪ったのか!許せん、卑怯者!

実際にはほんの数羽のカラスが巣を襲ったのかもしれません。でも、その時に多くのカラスがいたために、私は真実ではなく、状況から思い込みをしました。同時に、自分の人生で「裏切られた」経験が関係していることも、頭のどこかで自覚していました。小さなこどもが経験する、大人からの辛い裏切り。それは例えば、隠しておいた宝箱をゴミと勘違いされて捨てられるようなものです。

怒りにメラメラと燃える私を、愛犬は「どうしたの?」という顔で見上げていました。こんな時、動物と一緒にいると本当に助けられます。私は愛犬の不思議そうに私を見上げる目を見て、地に足がつきました。怒ることを「頭に血が上る」と表現しますが、まさに、エネルギーも上に上ります。大地から離れそうになったとき、善悪など判断しない犬が、いったい私がどうしたのか不思議そうに見上げたのです。




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【自己紹介】 中村久美恵 BBSH2011年卒業BHSプラクティショナー💖動物が大好きなエネルギーヒーラーです💛犬2匹猫30匹をお看取りした経験から、ペットロスのヒーリングサポートをしています。こんにちは、中村久美恵です^^ 今日もあなたが目覚めるメッセージ♡お届けします。 ...