「チャト、あのね、家の中でおしっこすると嫌われるんよ。そしたら、また外に出されるからね。だから、ちゃんとトイレでおしっこしてね。いいね?」
チャトランは黙って家の中にはいり、あちこち匂いをかいでから自分の場所を探しました。そして、部屋の片隅にあった椅子に座って、毛皮の手入れを始めました。トイレはわかりやすい場所で、エサを置く場所からは遠い場所に置きました。チャトランは夜中に数回起きてトイレをしました。そのたびに、懐中電灯を照らして見ましたが、彼はちゃんとトイレで用を済ませたのでした。
夜寝ていると、チャトランが椅子から布団の上に移動してきて、丸くなるのがわかりました。私の足元でした。結構な重さを感じながら、寝返りが難しいなあ、と思った私は「チャトランも私も、ぐっすり眠れる方法がないかなあ?」と思いました。不思議なことに、その瞬間、チャトランは布団の上から降りて、自分の椅子に戻ったのでした。
チャトランには子分がいて、名前を「チビ」といいました。チビは大人になってからもチャトランを慕って、本当の兄弟のようでした。チャトランはよくチビを舐めてあげました。そんな時、チビは気持ち良さそうにうっとりとした顔をしていました。母親が野良猫だったチビは早くに親から離れたので、チャトランが家族代わりでした。
チャトランとチビ |
青年期だったチビは元気いっぱい!家の中をめずらしそうにあちこち匂いを嗅ぎまわって探検しました。マーキングをしないかとヒヤヒヤしましたが、やがて、お兄ちゃんのそばに落ち着いて、一緒に毛皮の手入れを始めたのでした。
チャトランは、朝になると自分のテリトリーを見回りに出て行きました。オス猫の大事な儀式のようでした。